愛知県公立高校入試の傾向分析(2011.3.3.)更新
愛知県の公立高校入試の傾向を分析します。まず、各教科の平均点(合格者平均点)推移のグラフです。過去5年間のデータです。各教科20問の1問1点で20点満点です。これまで、愛知県の入試問題は、国語、社会科が簡単で数学が難しいと言われてきました。グラフからも平成18年,19年あたりはそう言えます。が、ここ2年で変化が見えます。国語は難化傾向であり、数学は易化傾向です。
一般的に、平均点が60%前後であれば得点分布は自然な分布(正規分布)となって受験生間に適度な差がつき、合否判定に都合が良いとされています。大学入試センター試験でも平均点60%をめざして問題が作られているそうです。上のグラフを見ると、愛知県入試問題でも各教科で60%(12点)あたりをめざして難易度を調整しているように思えます。このことから、今後も国語の難化傾向と数学の易化傾向は続くことが予想されます。
ここで注意すべきことがあります。愛知県の公立高校受験生は学力最上位層から下位層まで幅広く分布しています。内申点でいうと45から20未満までの受験生がいるようです。このように広い学力層が同じ問題を解くのが愛知県公立高校入試です。ですから、平均点が同じような問題でも学力層によって出来・不出来がずいぶん異なる場合があるのです。例えば、下図のように分布が全く異なる場合でも平均点は同じになるのです。右図の場合は中間層の出来が悪い出題であったと言えます。
では、なぜ右図のようなことが起こり得るのでしょうか。それには出題の難易度が関係しています。出題の難易度を、1.基本的、2.やや基本的、3.標準、4.やや難問、5.難問、の五段階に分けてみます。
学力上位層は、1.基本的、2.やや基本的、3.標準、4.やや難問は普通に解きます。ですから、3.標準の問題が難化しようと易化しようと影響をうけません。同様に、学力下位層は、3.標準、4.やや難問、5.難問は最初から解けないので、3.標準〜5.難問が難化しようと易化しようとほとんど影響をうけません。3.標準前後の問題の難易度が変化したとき、学力中位層は大きく影響を受けます。このような場合には上の右図のようなことが起こり得るのです。
実際の試験では、右図のような極端なことは起こらないはずですが、例えば平均点が下がった時、学力上位層が難しく感じる問題もあれば学力中位層が難しく感じる問題もあるのです。特に学力最上位層は全体に占める割合がごく低いので全体の平均点にはほとんど影響を与えません。ですから、平均点だけで合否ラインを予想するのは危険なこともあるのです。この点に注意しましょう。
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